今回は写真の専門家であり、愛知学院大学歯学部マルチメディアセンターに勤務されていた、原田先生に教えていただいたことをシェアしたいと思います。
確認したい写真の基本の”キ5つ
- 構図
- カメラの確実なホールド
- ホワイトバランスの設定
- 正確なピント
- 適正露出
1、構図 〜センスではない!設計図
見やすく伝えたいことを明確にする設計が構図です。正中があっているか? 咬合平面の傾きはどうなっているか?左右のバランスはどうか?口唇、唾液による泡は入っていないか?
構図を考えて正確に撮影するためには、術者がどの位置で撮影するかも重要になってきます。
どのような口角鉤を使用するか?口腔内の状況に応じたミラーの選択も重要です。
この構図という点で下記の写真を見るとどうでしょう。

ざっとあげて、も酷い構図です。
原田先生曰く、構図はカメラを覗く前に設定しておくことが大切だということ。
どこにピントを合わせるのか?口腔内写真と顔貌写真では違ってきます。
またどのカメラを使い、どのようにセッティングしているか? これらによって口腔内の写真は違った表情を見せます。
2、カメラの確実なホールド〜ぶれない、機材の安定が命
ぶれない写真を撮るためには両手でもつ、脇を締めてもつなど安定した姿勢が大切になります。今のカメラは軽いですが、重いカメラを持つ安定性のために頑張った腕立て伏せが懐かしい…
3、ホワイトバランスの設定〜Autoにしたいがそれはだめ!
光の色に応じて「白」を白く見せる設定。
カメラは撮影される場所の光の色などにも左右されます。大切なのはケルビン値。
絶対温度のケルビン(K)ではなく照明やカメラ、写真でよく出てくる「ケルビン」は、「光の色の“あたたかさ”や“冷たさ”を表す単位」であり色温度と呼ばれます。
写真撮影を行うときや、ポーセレン築盛など様々な場面で重要なケルビン値ですが5500ケルビンが目安です。
4、正確なピント〜見せたいところをハッキリと
ピントが合っていないと伝えたいことが不明瞭になってしまします。
口腔内写真、顔貌写真撮影。特に側貌写真は目にピントを合わせると綺麗に撮れるようです。
5、適正露出〜明るさのコントロールは光のさじ加減
明るさで情報の欠落を防ぐことができます。
大切な3要素、シャッタースピード・絞り(F値)・ISO感度 この3つの組み合わせが重要です。
どうしてもメーカーの方に頼りがちですが、基礎知識として知っておいてもいいですね。
要素 | 意味 | 明るさへの影響 | 写真への影響 |
---|---|---|---|
📷 シャッタースピード | 光を取り込む時間 | 長くすると明るくなる | 動きがブレる or 止まる |
🔘 絞り(F値) | レンズの光の通り道の広さ | 広くすると明るくなる | 背景のボケ具合に影響 |
🌙 ISO感度 | 光を電気信号に変える強さ | 上げると明るくなる | 高すぎると画質が荒れる(ノイズ) |
まとめ
治療成果の確認は、術者自身のスキルを磨くための大切なプロセスです。
口腔内写真が重要である理由はまさにそこにあり、自らの診療を客観的に見つめ直すための“鏡”のような役割を果たします。
もちろん、患者さんとのコミュニケーションツールや、モチベーション向上の手段としても欠かせない存在であることは、もはや言うまでもありません。
術前・術後はもちろん、経年的に記録を積み重ねることで、自分自身の治療の積み重ねを深く洞察できるようになります。
カメラは歯科医師だけでなく、ハイジニストやテクニシャンにとっても、臨床に欠かせない共通のツールです。
今一度口腔内写真の基本のキを見直して、スキルアップしていきたいですね。