口腔内写真の撮り方|押さえたい基本の5つ

口腔内写真は、治療記録・患者説明・自己研鑽のいずれにおいても欠かせないツールです。

しかし「なんとなく撮っている」状態では、その価値を十分に引き出せません。

今回は、愛知学院大学歯学部マルチメディアセンターに勤務されていた写真の専門家・原田先生から学んだ、口腔内写真撮影の基本5つを紹介します。歯科医師はもちろん、歯科衛生士・歯科技工士にとっても共通して役立つ内容です。

口腔内写真の撮り方|確認したい基本の5項目

  • 構図
  • カメラの確実なホールド
  • ホワイトバランスの設定
  • 正確なピント
  • 適正露出
目次

1、構図 〜センスではない!設計

構図とは「見やすく伝えたいことを明確にする設計」です。

撮影前に以下を確認する習慣をつけましょう。

  • 正中はあっているか
  • 咬合平面の傾きはどうか
  • 左右のバランスはとれているか
  • 口唇や唾液の泡が写り込んでいないか

また構図を正確に決めるためには、術者がどの位置で撮影するかも重要です。どのような口角鉤を使用するか、口腔内の状況に応じたミラーの選択も構図に影響します。

この写真を構図の観点から確認してみましょう。

改善が必要なポイント:

  • アングルワイダーで撮影されているが、口唇が入り込んでいる
  • 左右のバランスが均等でない
  • 唾液や泡が写り込んでいる

原田先生曰く、「構図はカメラを覗く前に設定しておくことが大切」とのこと。カメラを構える前に、口角鉤の位置・ミラーの角度・患者さんの頭位を整えてから撮影に臨みましょう。

またどこにピントを合わせるかは、口腔内写真と顔貌写真で異なります。使用するカメラの種類やセッティングによっても、写真の仕上がりは大きく変わります。

2、カメラの確実なホールド ── ブレは情報の損失

 口腔内写真の撮り方で見落とされがちなのが、カメラの保持方法です。

ぶれない写真を撮るためには、両手でもつ・脇を締めてもつなど、安定した姿勢が大切です。カメラが軽量化されている現代でも、安定したホールドの重要性は変わりません。

3、ホワイトバランスの設定 ── Autoは避ける

光の色に応じて「白」を白く見せる設定。

カメラは撮影される場所の光の色などにも左右されます。大切なのはケルビン値

絶対温度のケルビン(K)ではなく照明やカメラ、写真でよく出てくる「ケルビン」は、「光の色の“あたたかさ”や“冷たさ”を表す単位」であり色温度と呼ばれます。

写真撮影を行うときや、ポーセレン築盛など様々な場面で重要なケルビン値ですが5500ケルビンが目安です。

4、正確なピント〜見せたいところをハッキリと

ピントが合っていないと伝えたいことが不明瞭になってしまします。

口腔内写真、顔貌写真撮影。特に側貌写真は目にピントを合わせると綺麗に撮れるようです。

5、適正露出〜明るさで情報の欠落を防ぐ

明るさで情報の欠落を防ぐことができます。

重要な3要素はシャッタースピード・絞り(F値)・ISO感度。この3つの組み合わせが適正露出を決めます。

要素意味明るさへの影響写真への影響
📷 シャッタースピード光を取り込む時間長くすると明るくなる動体ブレに影響
🔴 絞り(F値)レンズの開口の広さ広くすると明るくなる被写界深度(ボケ)に影響
🌙 ISO感度光の増幅度上げると明るくなる高すぎるとノイズが増加

どうしてもメーカーの方に頼りがちですが、基礎知識として知っておくと対応の幅が広がります。

まとめ|口腔内写真の撮り方を見直してスキルアップを

治療成果の確認は、術者自身のスキルを磨くための大切なプロセスです。

口腔内写真が重要である理由はまさにそこにあり、自らの診療を客観的に見つめ直すための”鏡”のような役割を果たします。

患者さんとのコミュニケーションツールや、モチベーション向上の手段としても欠かせない存在です。

術前・術後はもちろん、経年的に記録を積み重ねることで、自分自身の治療を深く洞察できるようになります。

カメラは歯科医師だけでなく、ハイジニストやテクニシャンにとっても、臨床に欠かせない共通のツールです。

今一度、口腔内写真の基本を見直してスキルアップしていきましょう。

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