アルジネート印象採得を再考

 アルジネートによる印象採得は、日常臨床で頻繁に行われる基本的な処置の一つです。
しかし、簡単そうに見えるこの手技も、いざ「手順を説明してください」と問われると、少し戸惑ってしまうことはありませんか?

そんなアルジネート印象採得を手順を追って説明します。(上顎の場合)

  • 口唇にワセリンを塗る。
  • リムロックトレーを試適する。(アミトレーでは変形が危惧されるのでリムロックトレーを使用)
  • リムロックトレー外側にユーティリティーワックスをまく。
  • 口腔内を洗浄。
  • 歯に軽くエアーをかける。
  • トレーにアルジネートを盛るがその際には気泡が入らないように注意する。
  • 唇側歯列、咬合面にアルジネートを塗りつけ(気泡を除去するため)、印象材の入ったトレーを歯列に押し当てる。
  • 口腔内にトレーを入れ、口唇がめくれあがっていたら口唇を元に戻す。(患者さんが不快にならないように配慮します)
  • 硬化するまでtトレーを保持します。この時に手を離さないこと。
  • トレーの隙間にエアーを入れて一気に外す、または水を流してからエアーを入れる。
  • 印象を確認する。
  • 流水下で印象面の唾液を流し洗浄する。
  • 患者さんにうがいをしてもらい、顔や口周りを綺麗にする。
  • トレーの後方に流れた余分なアルジネートは変形させないように鋭利なナイフでそぎ落とす
  • 印象面が乾燥しないように濡れたペーパータオルなどで包み保湿箱へ入れる。もしくはすぐに石膏を流すと変形がない。

ざっと並べると15工程ありました。

 近年ではデジタルインプレッションの普及が進んでいますが、従来のアルジネート印象採得は今なお、多くの場面で必要とされる基本技術です。
だからこそ、改めてその手順やポイントを確認し、確実な操作ができるようにしておきたいものです。

リムロックトレー外側にユーティリティーワックスをまくことによって
歯肉頬移行部の印象が明瞭に採得できる
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